イスラエル社会から見える「育てながら学ぶ・働く」。
ヘブライ大学に通っていると、ふと女性をとりまく大学の環境が日本と違うなと思う場面に立ち会います。
たとえば先週インターンシップを担当する先生とミーティングの約束があったのですが、当日約束の時間になっても来ません。15分くらい経ったところで、隣のオフィスの人から彼女は今日来られないと言われました。
しかたなくサンドイッチの残りを同じ階で食べていると、20分くらいしてその先生がベビーカーに赤ちゃんをのせて現れ、ミーティングがキャンセルになってごめんなさいと言ってきました。赤ん坊が理由で間に合わなかったとのこと。
その姿はまさに育児に追われているお母さん。しかしその先生は「西洋とイスラムのテロリズム」という授業を受け持っている女性でもあります。
ここでは赤ちゃんをオフィスに連れてきたりしながら仕事ができるのだなあと感心しました。
実際に大学内にはベビーカーを連れてうろうろしているお母さんがたくさんいます。
ひとつにはユダヤ人もパレスチナ人も子だくさんで、若くして子どもを産む事実が背景にあります。20才前後で子どもを産み始める彼女たちにとって、子どもを持つことは学業をあきらめる理由になりません。大学側も彼女たちが学びに来ることを前提にしています。
ヘブライ語の授業で同じクラスだった34歳のパレスチナ人女性は子どもが4人いるため、朝は5時に起きるといっていました。子どもの世話をして、本人は週三回ヘブライ語を学びに来ています。
また5才の娘さんがいる知人に聞いたところ、彼と彼の奥さんは共にヘブライ大学の学生で、なんと子どもが親と一緒に教室に入ることが許されているそうです。親が授業を受けている間、子どもはしずかに本を読んだり、絵を描いたり、あきたら教室の外に出ていっていいそうです。
他にも同じ年くらいの子どもを持っている親がけっこういるので、親が授業を受けている間、子どもたち同士で遊んだりしているとのこと。
10人一気に産休に
先日、日本語を学んでいるパレスチナ人の友人に「残念だけど、日本で女性として生きていくのは難しいよね」としみじみ言われました。日本では女性に対する社会的な扱いが悪い、という意味です。
彼はイスラエルの大きな病院で腎臓移植チームに所属する看護師として働いていますが、驚くべきことにチーム内の女性の同僚が10人一気に産休に入ったそうです(さすがに本人も驚いていました)。そのため彼が忙しくなっているとのこと。もちろん彼女たちは、産休後もちゃんと復帰できます。
そんなことを見たり聞いたりしていて、日本にも解決しなければいけないことはたくさんあるなあ、と紛争の絶えないエルサレムから思うのでした。