あの『サピエンス全史』の著者もいる! ヘブライ大学スコープス山キャンパスの紹介
ヘブライ大学はイスラエルで2番目に古い大学で、キャンパスが3つあります。
その中のひとつ、スコープス山キャンパスは歴史、言語、社会学、法律などを学ぶ生徒が集まるキャンパスです。
オバマ元大統領が勧めたことで話題になった『サピエンス全史』の著者であるユヴァル・ノア・ハラリ氏もこのスコープス山キャンパスで教える教授の1人です。ハラリ氏の歴史の授業は大人気で、授業を取れなかった生徒向けにYouTube に授業の動画もアップしています(ヘブライ語)。
そんなハラリ氏も通うスコープス山キャンパスは東エルサレムの丘の上に立っており、丘からは占領地をふさぐように建設された分離壁が見えます。
エルサレムの中心地からはバスに乗って約30分。 “הר הצופים” (ハール・ハツォフィム)行きの34番、19番、17番いずれかのバスに乗って終点で降ります。
バスごとキャンパス内に乗り入れるかたちになっており、降りて身分証明書を見せ、セキュリティチェックを通ればメインの建物に直接入れるようになっています。
メインの建物には本屋や文房具屋などがあります。値段は高めですが日用雑貨やコンタクトレンズも売っていて、急ぎのときには助かります。
キャンパスではよくイベントをやっていることも。一度、パレスチナ国旗を持った学生たちが集まっていて、セキュリティスタッフが周りから見張っており、それを写メにとる他の学生たち、なんていう状況も目にしました。
アインシュタインがいろんなところに……
そんなヘブライ大学はアインシュタインが大好き。
アインシュタインはイスラエルが国になる前にヘブライ大学の創設に関わっていて、ヘブライ大学で講義も行なっています。
そんなゆかりからかアインシュタインはLINEのクマ並みにヘブライ大学のアイコンです。いろんなところにアインシュタインがいますが、雨に打たれてもオーケーな等身大パネルには何かアインシュタインへの執着を感じます……(しかもいくつかあり)
日本の漫画を発見! 図書館にひそむあやしい小部屋
ヘブライ大学では日本を感じさせる場所もあります。それはキャンパスにある一番大きな図書館の中。
正面の入り口を抜けて、左手にある階段を上がって扉を開けると……
なんとそこに日本の漫画を置いている小部屋が。
この部屋には日本のアニメ・漫画好きが高じて日本語を学ぼうと決意した学生が毎日のようにやってきて漫画を読んだり勉強をしています。
ワンピースや進撃の巨人がある! と思いきや日本の書店にもなかなか置いていないような超ハードな18禁BL漫画も……(開いてみたら結構エグかったです)
ご飯を食べてボタニカルガーデンでひと休み
お腹が空いたと思ったら大学内のお店で何か買うようにしましょう。キャンパスの外にはほとんど何もないので、その代わりにキャンパス内に食べる場所がたくさんあります。
スタンド式のカフェからスナックを買えるキオスク的な店、パスタやピザのテイクアウトやヘルシーなサラダバー、食事をトレーに乗せて最後に会計する食堂っぽいレストランまでいろいろ。
さらに、このキャンパスにはめずらしい植物を集めたボタニカルガーデンがあり、授業に疲れたなあと思う時には一息いれるのにちょうどいいです。モネの睡蓮の絵を彷彿とさせるような池の近くで猫が日向ぼっこなどをしているときも。
海外留学生が学ぶロスバーグインターナショナルスクールの校舎はボタニカルガーデンを通りすぎたところにあります。
ヘブライ語を学ぶ教室の窓からは分離壁が見え、午後四時くらいになるとイスラム教のお祈りがけっこうな音量で流れてきます。
中には小ぶりな図書館や、休み時間にコーヒーや軽食を変えるカフェも併設されています。
お弁当を温める電子レンジもあり。
テロを記憶する「木」
そんなスコープス山キャンパスですが、過去にはキャンパス内でテロがありました。
2002年の夏、休みに入って人もまばらなカフェテリア内に爆発物の入ったバッグが置かれ、それが爆破して10人近い生徒が亡くなりました。
その中にはロスバーグインターナショナルで学ぶ留学生も数人いました。
カフェテリアの前には爆発で根っこから吹っ飛んだ木が今でもあります。木を処分せず、事件を忘れないという意味でアーティストがオブジェ風にしたものです。
爆発のあった現場は今でもカフェテリアとして賑わっています。
ちなみに、このスコープス山キャンパスの設計の評価はイマイチ。
丘の上に立っているのに、なぜか内に向いて閉ざすような設計になっています。
もっと上手くやればいろんな場所から金色に輝く岩のドームが見えただろうに……