すべてがストップするエルサレム安息日の5つの攻略法
エルサレムに旅行にきたものの金曜日と土曜日に旅行の日程がかぶってしまった…
安息日というものがあると聞いてはいたがここまですべてが止まっているとは知らなかった…
そんな旅行者にエルサレム安息日に何をすればいいかのアドバイスを考えてみました。
はじめに安息日とは?
ユダヤ教では金曜日の日没から土曜日の日没までを安息日としていて、その間は働いてはいけないという鉄の掟があります。トラムとバスは完全ストップ。店は完全に閉店。電気を使うのも最低限にするためホテルでは自動ドアを止めて手動の扉で出入りしたり、ほぼどこの銀行のATMでもお金がひきだせません。エレベーターもふたつある内のひとつが止まったリ、冷蔵庫も安息日モードがあります。
安息日のはじまりと終わりの時間は季節とともに少しずつ変わっていきますが、大体金曜日の16時ごろにはじまり、土曜日の19時ごろおわる感じです。時刻になるとに街中に「ブワーン」というブザーが鳴り(なんでもっといい感じの音にしないんだという不満の声あり)開始と終了をお知らせします。
さてそんな金曜日の午後から土曜日の夜まで何をすればいいの?という方。以下、参考にしてみてください。
その1. 旧市街に行く
旧市街はユダヤ教地区、キリスト教地区、イスラム教地区、アルメニア地区に分かれています。なのでユダヤ教地区のお店が閉まっていても他の地区のお店はおおむね開いています。
嘆きの壁には安息日にたくさんのユダヤ人がお祈りに行くのでそれを見てから、お店の豊富なイスラム教地区でお土産を買ったり、ごはんを食べてみてはどうでしょう。それからイエスの足跡をたどるヴィア・ドロローサなどをまわってみては。
また安息日でも開いているおすすめの旧市街のカフェは…
クライストチャーチカフェ(Christ Church Café)
ヤッフォ門をくぐって右手に見えます。店の奥にある外のテラス席は落ち着いていて一休みするのにちょうどいいです。
オーストリア・ホスピス(Austrian Hospice) 建物内の屋上とカフェ
こちらはダマスカス門から徒歩一分。一見入りにくそうな門がまえですが、入って階段を上がるとカフェがあります。5シェケル(約150円)払って屋上に行くことができ、そこから旧市街の風景がよく見えるという穴場スポット。屋上の景色を見たら階段を降りてカフェでひと休み。
その2.ベツレヘムへ行く
イスラエルのメインの交通機関は全てストップしていますが、アラブバスは金曜も土曜も運行しています。ダマスカスゲート(Damascus Gate)前のバスターミナルまで行けば、そこからベツレヘム行きのバスに乗れます。安息日を利用して、ベツレヘムまで行き、イエスの生誕地や分離壁近くにオープンしたバンクシーホテルなどを見に行くには好都合の日。
またダマスカスゲート近くにはアラブ人のやっているお店が並んでいるので食料品も手に入ります。
またその付近にあるアメリカンコロニーホテル (American Colony Hotel)という歴史のあるホテルでお茶をしたり、エデュケーショナルブックショップ(Educational Bookshop)というパレスチナをテーマにした書籍を多く扱っている本屋さんで本(英語の本多し)を物色しつつ二階でお茶をする、なんていうのもグッド。
その3.エルサレムの中心地で開いているレストランとカフェに行ってみる
エルサレムの中心地でも開いているレストランとカフェはあります。
いくつかご紹介します。
ZUNI (ズニ)
エルサレムの中心の広場から徒歩三分。二階にあるレストランはなんと24時間オープン。ゲイの人たちが集まる場所としても知られています。おすすめはフルーツとクリームチーズ付きのフレンチトースト。一人で食べきれないので誰かとシェアするとちょうどいい。
Focuccia Bar (フォカッチャ・バー)
レストラン内にピザを焼く釜があり、ピザを頼むとその場で焼いてくれる。席が沢山あるのでいつでも入れると思います。
ヒレル・ストリート(Hillel Street)のAroma Cafe
イスラエルのスタバと言えばアロマカフェ。たくさん店舗があります。エルサレムではHillel Streetの店舗のみオープンしています。
その4. First Station (ファーストステーション)に行く
エルサレム中心部の南に昔の鉄道駅を改装して若者向けのお店を集めたファーストステーションという場所があります。ここでは安息日でもレストランをオープンしており、フリーで音楽が聞けることも。ただしそこへ行くには足が必要。アラブバスの通る場所ではないのでタクシーで行く必要がありそうです。ちなみにタクシーは安息日でも走っています。
その5. 超正統派ユダヤ人に出くわしたら観察してみる
ある安息日にエルサレム中心地のお店で水を買って外に出たら、超正統派ユダヤ人の約20人ほどの男性グループが激しいブーイングのような音を出しているのに出くわしました。私の目の前にも五才くらいの男の子がやってきてものすごい勢いで何かまくし立ててきます。よく耳をすますと彼らは「シャバット、シャバット!」と叫んでいます。シャバットとは安息日の意味。つまり、働いてはいけない安息日にお店を開けて働いている人たちへ抗議しているのです。私が開いているお店で水を買うというのも彼らにとっては非難の的となるわけです。
その様子が異様で思わず見入ってしまいました。インターネットもテレビも見ず、電気を消したりつけたり電子レンジを使うことすら禁止されている彼らにとって、こうして安息日に働いている人たちに抗議するのはれっきとした使命なのです。
その彼らがブーイングをしている横で開いているレストランで昼からお酒を飲んでいる無宗教のイスラエル人が「シェケット!」(黙れ!)と彼らに叫び返し、警察官も出てきてちょっとした修羅場状態。
安息日に街をうろうろしていたらそんな光景に出くわすかもしれません。異国の文化を学ぶ姿勢でぜひ観察してみましょう。
以上がエルサレム安息日の攻略法です。
ちなみにテルアビブはもっとお店が開いていたり、バスもいくらか走っているようなのでそこまで気を付ける必要はないと思います。
もちろんユダヤ教に習って何もしないというのもオーケー。
働きすぎと言われる日本人にいいお手本になること間違いなしです。
エルサレムは宗教的なユダヤ人が多く暮らす街。それを感じずにはいられないのが安息日なのです。