イスラエルいろいろ

イスラエルってどんなところ? ふだんだれがなにして暮らしてる? そんなギモンを掘り下げてみました。ユダヤ人の歴史・文化にも踏み込んでいきます。

超正統派ユダヤ人が住むメアシャリーム地区を歩いて知った10のこと

ユダヤ人社会の中は超正統派と呼ばれるグループがあります。

 

ユダヤ人の中でもっとも宗教の規則を忠実に守っている彼らの生活は現代の日本人からみるとかなり独特。

 

イスラエルの人口の約10%を占め、子だくさんの傾向からその人口は増え続けていて、2060年には全人口の約30%になるという予測がされています。

 

その超正統派ユダヤ人が集中して住むエリアがエルサレムにあり、メアシャリーム地区と呼ばれています。

 

先日ヘブライ大学が主催したガイドツアーに行ってきました。


その際に気がついた10のことを以下に書いてみます。

 

その1. ちゃんとした格好をしていないとごみを投げられることがある

男性は真夏でも黒のスーツ、女性は肌を隠していて、既婚者の女性は髪の毛を隠すためスカーフかかつらをつけています。

 

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ノースリーブやショートパンツで行った外国人がゴミを投げつけられたことがあるらしいです。メアシャリームを歩くのなら、女性は夏でもなるべく肌を隠して、スカートであれば膝丈より長いものをはいていくのがオススメ。

 

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その2. 超子だくさん

メアシャリーム地区に入ると子供がわらわらとしています。戦後の日本てこんな感じだったのかしら、と思ってしまいます。

 

子どもの平均の数はなんと7人。

 

19才になったら親は娘の結婚を考えはじめるとのこと。

 

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その3. インターネットなし、映画なしの人生が推奨される

「メアシャリームの生活では、インターネットなし、映画なし」と書いてあるポスターを見つけました。

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インターネットと映画によって良からぬ外部の影響を受けることを良しとしない生活を送っています。

 

その4. 女の人を見ないように歩く人がいる

女性のグループでかたまって行動していたところ、通り過ぎていく男性が、女性であるわたしたちを見ないように帽子で顔を覆いながら歩いていきました。なんだか自分たちが不純物のような気が……

 

男女問わず写真を撮られるのはあまり好まないようです(いっぱい撮ってしまってすみません)。

 

その5. コーシャの携帯電話がある

ユダヤ教には食物を扱うときのルールがあり、決まったプロセスを終えると「コーシャ」であるという正式なお墨付きがもらえます。

 

最近は獺祭(だっさい)という日本酒がコーシャ認定を受けて世界中で知られるようになっていますが、なんと携帯電話にもコーシャがあります。

 

なんとなく携帯電話に怪し気なおまじないでもかけるのかと想像していましたが、要は日本のシニア向けらくらくフォンのようなもの。

 

アクセスできる情報を制限したりSMSを使えないようにしたり、超正統派ユダヤ人用にデザインされた携帯、ということです。

 

人口が増え続けているだけあって需要は高く、最近では2016年にサムスンが事業に乗り入れました。

 

普段は破格の安さの通話料ですが安息日に使うと料金が跳ね上がるらしいです(ユダヤ教は安息日に電気を使ってはだめ)。

 

その6. ハヌカの時期はきれい

クリスマス前にやってくるハヌカの時期になると、建物の前にガラスケースが置かれ、中にろうそくが灯されとってもきれい。

 

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西洋のクリスマスのような派手さはなく、とっても素朴。昔の祝日のお祝いの仕方ってこういう感じなのかな、と思いました。

 

その7. 男なら勉強

歩いていたらユダヤ人の学校の廊下が外から見え、生徒全員が男性であると一目でわかる、黒ずくめの衣装がかけてありました。ちょっとホラー映画のようにも見えます。

 

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男なら一にも二にもまず勉強。一生勉強をすることが超正統派ユダヤ人男性の理想です。もし働くとしても女性が外にでていきます。

 

国から補助金でていて、最低限の生活は保障されています。


その8. 兵役に行かない

イスラエルではみんな兵役に行くことが義務づけられていますが、上に述べたように、超正統派は勉強の方が大事なので、国と合意の上で兵役を免れています。

 

しかし、彼らの人口が増え続けるなかこのままでいいのか? という声が続出。超正統派の兵役免除を見直す動きが出てきています。

 

超正統派の人々はそれに対してデモをするなど、断固として兵役免除の主張を続けています。

 

その9. 募金活動が盛ん

通りには募金箱が沢山置かれています。ツダカと呼ばれるチャリティーのシステムがコミュニティーには根付いています。

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コミュニティーの中での助け合いの意識の高さを感じます。

 

その10. 女性下着を売っている場所がカモフラージュされている

ショーウィンドウにパジャマが飾ってあるお店がありましたが、本当は下着メインで売っているのだとガイドさんが教えてくれました。

 

店名もそれとなく匂わせているのだとか。

 

正直言って超正統派は超男性社会。女性の本当の姿はなかなか外からでは見えません。

 

以上がメアシャリームで気がついたことです。

 

ちなみにイスラエルには超正統派の政党があり、人口が増えていることもあって彼らのサポートを得ることは政権を維持する上で重要になっています。

 

当の超正統派はイスラエルの占領地問題などにはあまり関心がなく、自分たちの伝統的な暮らしを維持することを第一目標としています。

 

2017年11月には安息日に鉄道工事をすることに抗議して、超正統派の厚生大臣が辞任しました。

 

そんな異色の世界を持つ超正統派のことを知るためにメアシャリームに行ってみることはオススメです。

 

ホテルでもメアシャリーム行きのツアーを開催しているところもあるとのこと。

 

機会があればぜひ行ってみてください。

 

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