イスラエルいろいろ

イスラエルってどんなところ? ふだんだれがなにして暮らしてる? そんなギモンを掘り下げてみました。ユダヤ人の歴史・文化にも踏み込んでいきます。

バンクシープロデュース。パレスチナ自治区内に新設された「世界一眺めの悪いホテル」。

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エルサレムからバスで約40分、パレスチナ自治区内のベツレヘムに2017年にオープンしたばかりの『The Walled Off Hotel』に行ってきました。

 

この『The Walled Off Hotel』はイギリス出身の覆面アーティスト、バンクシーが出資&プロデュースしたホテルです。

 

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予約は現在約8カ月先まで埋まっていて宿泊は難しいですが、ホテルの1階にあるカフェとミュージアム、2階のギャラリースペース、ホテルの横にある『WALL★MART』アートイベントスペースなどは宿泊しなくても公開されているので、ベツレヘムに行った際にはぜひ立ち寄ってみてください。

 

このホテル、なんと「世界一眺めの悪いホテル」と言われています。

 

イスラエルがパレスチナ自治区とイスラエルを隔てるために建設した長い分離壁の真向かいに建てられているのがその理由。もちろんねらってやっています。

 

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壁とホテルのあいだはわずか数歩の距離。

 

壁の高さは約8メートル。壁にはトランプ大統領やネタニヤフ首相の絵を始め、政治的なメッセージが込められたグラフティアートで埋め尽くされています。

 

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バンクシーはこの分離壁が建てられた2002年以降にメッセージ性のある絵をいくつか残し話題になりました。

 

そして2017年、ベツレヘムにホテルを建てます。

 

一歩ホテル内に足を踏み入れるとそこはバンクシーの作品の中。

隅から隅まで意味深なオブジェでいっぱいでした。

 

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たとえば、ホテルの正面玄関から入ると受付の『RECEPTION』のサインの代わりに『REJECTION』(拒否)の表示があり、

 

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その隣には平和の象徴であるオリーブの枝をくわえた鳩がゲージの中に入れられていて、猫が襲いかかっているオブジェがあります。

 

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観葉植物の根元には、焼かれてぼろぼろになったジャックユニオン(イギリスの国旗)が刺さっており……

 

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銅像はガス避けに布を装着。

 

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と、こんな感じです。

 

1階の展示スペースでは、パレスチナ自治区の厳しい占領の現実を視覚的にとてもわかりやすく展示しています(入場料15シェケル=約450円)。

 

途中、命の重さを表現したバンクシーの作品も。

 

2階のギャラリースペースは入場料無料で、パレスチナ人のアーティストを始めとした作品が展示されています。

 

ホテルのカフェでは座ってお茶を飲みながらバンクシーの作品を堪能できます。分離壁に向かった席もあり、窓ごしに見えるグラフティを見ながらコーヒーも飲めます。コーヒーは一杯12シェケル(約360円)くらいから。

 

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注目を集める一方で、ホテルについて人々の悲惨な状況を利用してお金を稼いでいるのでは、という批判もあるようです。それに対し「『The Walled Off Hotel』は独立した地元のビジネスであり、地元に利益をもたらすことを目的としている」とホテル側は回答しています。

 

また反ユダヤ主義ではないと公言しており、イスラエル人も歓迎とのこと。

 

いろいろと賛否両論を呼びそうなこの『The Walled Off Hotel』。

 

ベツレヘム観光にお越しの際はぜひ立ち寄ってみて下さい。

 

 

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